シリーズ4◆仏教のひろがり
城柵ができることで、周辺の蝦夷社会にも新しい文化が広がっていきますが、その1つとして重要なのが仏教です。岩手県内では、胆沢城・志波城・徳丹城が出現した9世紀から仏教関係の遺構・遺物が見つかるようになります。
胆沢城の付属寺院にあたるような遺跡・遺構は確認されていませんが、胆沢城跡からは「寺」と墨書された土器が出土しています。また、9世紀後半には、「鎮守府庁」で護国経典である最勝王経の講読と、滅罪のための吉祥悔過が行われていたようです。胆沢城との関係が指摘される伯済寺遺跡からは、僧侶の名前と思しき「忍斉」と書かれた土器が見つかっています。
特別展ではこれらの資料のほか、北上市の相去遺跡から出土した「佛」刻書土器、国見山廃寺のことともいわれる「極楽寺」の古代印、一関市の泥田廃寺や奥州市の石行遺跡から出土した資料なども展示しています。