センター2階パネル展示のリニューアル
2024-06-10
センター2階の常設展示室前のスペースでは、奥州市内の発掘調査成果等を紹介しています。このたび、その展示内容をリニューアルしました。ご来館の際は、ぜひご覧ください。以下、詳細です。
●令和5年度奥州市遺跡発掘調査パネル展
令和5年度に奥州市内で発掘調査された遺跡をパネル展示しています。
主な遺跡は、作屋敷遺跡(胆沢南都田字独光)、中林下遺跡(水沢真城字中林下)、町屋敷遺跡(水沢真城字垣ノ内)、白鳥舘遺跡(前沢字白鳥舘)、長者ケ原廃寺跡(衣川字田中西)で、縄文時代から江戸時代に至る様々な遺構・遺物が見つかっています。
作屋敷遺跡は、(公財)岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターによる発掘調査が行われました。主に13世紀後半の掘立柱建物跡16棟・溝跡10条・池状遺構1基などが検出されています。また、同時期の貿易陶磁器・国産陶器なども出土しています。特に溝跡は、掘立柱建物跡群を区画しており、有力武士の居館である可能性もあります。
白鳥舘遺跡は、奥州市教育委員会による発掘調査が行われました。令和5年度は、城館の主郭部分である郭2で調査が行われ、広場的な空間が広がっていたことがわかりました。
●上舘遺跡出土の元亨三年板碑
令和4年度に行われた上舘(かみだて)遺跡から出土した14世紀前半の板碑を展示しています。
上舘遺跡は、国指定史跡胆沢城跡の北西側、奥州市水沢佐倉河字八ツ口地内位置する中世城館跡です。発掘調査では12世紀の堀跡・かわらけ焼成窯などが検出され、かわらけ・国産陶器(渥美・常滑製品)・貿易陶磁器(青磁・白磁・青白磁)などが出土しています。また、15~16世紀の柱穴状ピット群なども検出されています。
出土した板碑は、長さ85.7cm以上、幅42cm以上の大きさで、全体が磨滅していて判読できない文字もありますが、種子の「アン」が確認されます。造立年代は、元亨3(1323)年の年号が刻まれていることから、鎌倉時代末期に造立されたことがわかります。種子は、如来や菩薩を梵字で表し、本尊を安置する蓮台なども見られます。板碑は、中世武士たちの間で流行し、主に父母の追善供養あるいは逆修(生前供養)を目的として造られました。おそらく、この場所が中世前期の霊域であったことが考えられます。
(文:専門調査員 遠藤栄一)
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